スケジュールの役割 | アート・オブ・プロジェクトマネジメント

私たちは日々、スケジュールと共に生活しています。そして、頻繁に遅れます。 飲み会の開始時間、DVDの返却期限、クリスマスプレゼントの用意、そして仕事。 私などは自分が遅れることを知っていますし、遅れない計画の建て方もよくわからないので、ついスケジュールを立てることに消極的になってしまいます。

あの悩ましいスケジュールとは、一体なんなのでしょうか。また、どうやって立てればいいのでしょうか。

スケジュールの役目は、厳守されることだけではない

『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』は、スケジュールの役割は3つあると言っています。

  • いつものごとが完了するのかを表す
  • チーム全体における個人の成果物の位置づけを理解させ、書くメンバーの協調を促進させる
  • 作業を管理可能な塊に分割するツールをチームに与える

です。 たしかに、状況が不確定すぎるからと仕事の完了期限を濁していて、チームメンバーに困った顔をされた経験があります。 状況が不確定でもいったん期限を切る、という行動の裏には、チームの協調を図るという目的もあったのです。 自信がないからといって叩き台にできるスケジュールも提供しないのでは、マネジメントもなにもできません。

じゃあどうやって、そのスケジュールを立てるのさ? 1/3の法則

といっても、守れもしない適当な期限でばかり合意したら、それこそアドレナリン・ジャンキーになってしまいます。現実的なスケジュールは、どうやったら立てられるんでしょうか。

本著はそこで「1/3の法則」を提唱しています。 1/3の法則とは、どんなスケジュールでもざっくり分ければ「計画 / 実行 / 検証」の3ステップに分けられるから、その3ステップのそれぞれにかかる時間をイメージしてみれば、そんなにズレのないスケジュールができるでしょ!という豪快な法則です。

この法則は、対象が自分1人でやる作業であったとしても、昔ながらのウォーターフォール型の開発モデルであったとしても、あるいはスクラム開発であったとしても、あてはめることができます。 自分1人の作業なら「何をするか、どうやってするか」を考え「実際に手を動かし」て「それが要件にあっていることを確認する」のが3つにわけられます。ウォーターフォールモデルでは対象が巨大になりますが同じです。そしてスクラム開発は、小さな1/3の法則の集合といえます。

そのスケジュールの正しさをどう担保しよう?

1/3の法則で作ったスケジュールは、どうして正しいといえるのでしょうか? 本著の著者、Scottさんは

初期計画時点でスケジュールを作成する場合、そのスケジュールに影響を与える、星の数ほどある意思決定は、まだ行われていないはずです。…(中略)… このため、でっち上げた数字と乱暴な予想で粗いスケジュールを作り上げ、それを角度の高いプロジェクト計画としてチームに引き渡すことになります。

と書いています。つまり、当たり前のことですが不確定な状況で正しいスケジュールは立てられないということです。 だから優れたスケジュールを立てるには、不確定な情報のない優れた設計が必要です。 優れたスケジュールは、見積もりを行うエンジニアが十分だと納得する程度に詳細な設計情報、エンジニアへの信頼、そしてなにより、チームメンバーが「スケジュールは確率と予想の掛け算であり、ブレ得るものだ」という前提に立っていることから生まれるのです。

本著に書いてあるけれど、本稿に書いていない具体的なこと

他にもこの章では、スケジュールを立てる時についつい見過ごしがちなチェックポイントのリストや(連休期間中の稼働時間は短めにしてあるか?)や、スケジュールを機能させるためにすべきことのリスト(リスクには先に対処する)が盛り込んであります。

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