『ハッカーと画家』から、富について学んだ
ハッカーと画家を読みました。
『ハッカーと画家』はWebアプリの祖が書いたエッセイ
ポール・グレアム氏が、ソフトウェア開発やサービス開発、ベンチャー企業などについて綴ったエッセイ…なんでしょうか。
刊行されたのはずいぶん前で、しかしもうWebベースのアプリケーションが当たり前になった時代。それを最初に切り拓いたグレアム氏から見た、インターネットの過去・現在・未来を語ってくれます。
富は、それを生み出した人が手に入れる
この本には「いつか誰でもどこからでもインターネットに接続できるようになる。」「デバイスが小型化する」など、慧眼といえる未来予測も入っていて、それも面白いです。
しかし、僕が一番おもしろいと思ったのは、
「限られた人が大きな富を持つことは、『富は奪い合うのではなく、作り出すから手に入る』という前提が成り立つ社会では間違いではない」
という主張でした。
世の中では「人口の数%が世界の富の何%を独占している」というような主張が、とても悪いこととして喧伝されることがあります。僕も今まではなんとなくそれは良くないことのように思っていました。
ところがグレアム氏は、僕らがそう思うのは荘園制の時代の思い込みである、といいます。つまり、領主が無条件に農奴から富を奪い、農奴は富を奪われたから貧しいという状況なら、富の独占は悪いことと思われたはずだ、というのです。しかし現在はそうではない。MicrosoftやかつてのIBMがあんなに巨額の富を築いたのは、彼らが世の中にそれだけ大きな新しい富を作り出したからだ、というのです。
たしかに!と思いました。もしMicrosoftがWindowsを作らなければ、僕らはいまだに紙に手書きでグラフを書いていたかもしれません。それなら、Microsoftが富むのは世界を良くした当然の報酬だと思いました。
ぜひ手に取ってください
『ハッカーと画家』は、こんなワクワクし、ドキッとされられ、悩まされる話が詰まった本です。世界で初めてのWebアプリを作って公開し、Yahoo!に売却した彼が、どんな哲学を持ってそれを成し遂げたのか。
気になる方はぜひ手にとってみてください。きっと楽しめると思いますよ。